孤独なピアノ

高校時代、公立高校の演劇科に通っていました。
できて3年目の高校でしたが、1年生はいつも合唱コンクール、そして毎年演劇科が優勝してきたから、今年の一年生もその伝統を受け継いでね、と先輩に言われていました。
演劇科ですから声楽の授業もありますし、大きな声を出したりするのは得意な人ばかり、合唱コンクールではもちろん有利なはずなのです。

 

そんなプレッシャーのかかる合唱コンクールで、伴奏を弾くことになりました。
合唱曲の伴奏は比較的難しいものも多く、苦労して弾いていた上に、演劇科は男子生徒の少ないクラスなので、男性パートの音を出して教えてあげるのも伴奏者の役目でした。
みんなが並んで歌を歌っている中で、1人離れた場所で1人でピアノを弾くという孤独、それでいて間違えると誰のせいにもできない緊張感。

 

そんな合唱コンクール当日、グランドピアノを弾く私は舞台のそで近くに隠れ、写真にも映らず、歌い終わった後に喜ぶ友人の輪にも入れず1人でなんとか終わったことの安堵感に包まれていました。
合唱コンクールは無事優勝し、ホッとしたのと達成感で家に帰ると「声が大きくてピアノの音聞こえなかったよ」という母。

 

ショックと笑いの混ざった合唱コンクールの思い出でした。